JAPAN BRAND ジャパンブランド プロデューサーインタビュー
プロダクトデザイナー/プロデューサー
有限会社クルツ
島村卓実さん
- プロデューサーの紹介
- 地域の人との出会い
- プロジェクトの進行
プロジェクトの今後
JAPAN BRANDは間違いなく日本の新しい伝統を作っていきます
monaccaには企画の段階からすでに現在のラインナップが想定されており、その世界観が確立していた。島村さんは「単品だけ作ったのでは弱すぎます。monaccaが受けたのは、その世界観も買っていただけたからだと考えています」と語っている。そうした世界観がmonaccaブランドの確立への近道になってと言えそうだ。当初は最初から存在していた魚梁瀬杉トレーをそのまま使って製造する事で、コストを抑えていたが、今回、monacca誕生以来、はじめて新しい型を使ったラインナップが登場した。実に島村さんが魚梁瀬杉のトレーを目にしてから8年を経ていた。新しいステップへと踏み出したmonaccaだが、島村さんは、今後はJAPAN BRANDでどのような活動を行なっていくのだろう。
—monaccaは今後もラインナップ充実に進んでいくかと思いますが、monacca以外でJAPAN BRANDでどんな事をやってみたいとお考えでしょうか?
島村: JAPAN BRANDでやってみたい事はいっぱいあるんです。日本には天然の素材が豊富にあります。そうした自然素材を使って、高精度な手作業のものが作れるのは日本だけであり、それが日本の技術の大きな特徴でもあります。そして、それがいまの製品にも活きています。そうしたものをきちんと売ろうというメンタリティがあるのはまさに日本だけです。
—手作業と言う事でしたら、マイスターを重視するドイツもありますね。
島村: たしかにドイツのマイスター制度は素晴らしいのですが、時間をかけていいものを作るというスタンスです。日本の場合は、手早いのが特徴。時間をかけずによいもの、精度の高いものを量産化できるが日本です。そして、日本にはそうした技術革新が数多くあるので、これを活用すれば、さまざまなものがJAPAN BRANDになりえます。JAPAN BRANDはいまはバラバラですが、相互に交流していけば、JAPAN BRANDは間違いなく、日本の新しい伝統を作っていくと思います。
—JAPAN BRANDがそのように進化していくために具体的な提言はありますか?
島村: JAPAN BRANDをひとくくりにするのではなく、クラシック、カジュアル、デザインという形で特徴別に分けるといいかもしれません。例えば、パリで展示会をするにも、10万円以上の高価な商品だけを扱う展示会もあって、ニーズにあったバイヤーが集まるのです。カテゴライズして売っていく事で、JAPAN BRANDがわかやすいものになると思います。そうしたマーケットの側面から考える事も大事です。
—monaccaプロジェクトを通じて、JAPAN BRANDに改善して欲しいと感じた事はありますか?
島村: monaccaの運営が村に移行した際に、村に英語ができる人がいない事が問題になりました。結局、輸出代行会社を探してきて、いまはそこが海外とのやり取りを担当する事で解決しているのですが、村はもちろんJAPAN BRANDにも、商品を海外に輸出するノウハウがない。これは盲点だと思いますね。コミュニケーションがきちんと取れてスムーズに商品が流れないと、向こうも注文出せませんしね。地方から海外に発信するモデルケースとしては、自分たちがやってきたあたりまでが限界ではないかと思います。サポートするシステムがあればいいですが、それがなければ、はじめに合資会社でもなんでもいいから、組織を作って、目標を立ててプロジェクトを進める必要がありますね。
—monacca以外に進んでいるプロジェクトがあればお聞かせください。
島村: 青森県弘前の職人さんたちと「馬鹿塗」とも呼ばれる漆塗りの技術を使ったプロジェクトを進めています。これは職人さんの集まりが主導になって、商工会議所が販売を手がけていくもので、海外対応も英語もできる担当者がいる、ごくごく稀なラッキーなケースです。ですので、こちらに関しては、僕はデザインに特化しています。まるきり高知の逆パターンですね。ただし、こちらは商品としては、高価なのでむしろ難しい部分があると言えます。
他には和紙の話もありますし、テキスタイルもやりたいと考えています。特に着物の世界は、伝統に引っ張られた反物しか作っていないのが現状なので、そこをやりたい。テキスタイルは大事なポイントになると思っています。これ以外にも地方から手伝って欲しいという話はたくさんいただいています。プロジェクトの進行にあたっては、まず素材や製造している現場を見せていただきつつ、人(キーマン)を見つけるようにしています。プロジェクトをうまく進めるには、まずそこからはじめないとうまくいかないんです。

